スキャッターワインディング Scatter Winding
ハンドワインダー(手巻き)でピックアップボビンにワイヤを巻きつけるには、
指で持ったワイヤを矢印の様に左右に動かしながら巻いていかなければならない。
この左右の動き(巻き付けパターン)が、ピックアップのサウンドに影響を与える。
上の図は一般的なワインディングマシン(機械巻き)の巻き付けパターン。
端から規則正しく、並行に綺麗に巻いていく。
変圧器(トランス)等は、この様に綺麗に巻かれている。
上の図は、スキャッターワインディング(ScatterWinding)と呼ばれる巻き付けパターン。
不規則に巻いていく方法。
規則正しく巻いていくと、ワイヤが連続的に隣接し、高いキャパシタンスが発生する。
サウンドは、高域・中域が減り、暗いトーンになる。
ギターのトーンコントロールを絞るのと同様の結果になる。
一方、不規則(スキャッター)に巻くとワイヤが隣接する割合が減り、
距離ができるためキャパシタンスは小さくなる。
結果として、失われる高域・中域の量が少なくなる。
ヴィンテージ系のサウンドを目指したピックアップは、
スキャッターワインディングで製作されている物が多い。
試しに、控えめなスキャッターワインディングで巻いた場合と、
極端なスキャッターワインディングて巻いたものを比較することにした。
どちらもポリ皮膜ワイヤで、巻き数は8500ターン。
控えめなスキャッターで巻いたものは、抵抗値6.62k。
極端なスキャッターで巻いた方は、6.89K。
不規則に巻くと、斜めに巻いているので、
1回転で巻きつけるワイヤの長さが長くなり、
同じ巻き数でも抵抗値が結構変わってしまう。
RWRPのセンター PUも同時に製作した。
フロント側に、控えめなスキャッターのもの、
リア側に極端なスキャッターのものをマウントしてテスト。
極端なスキャッターで巻いたものは、ハイ・ミドルが強く、
控えめな方は、少しトーンが曇っている様な気がする。
また、ミックスポジション(リア+センター、フロント+センター)では、
ハムキャンセル効果が正常に作動した。
1度の実験で、結論を出すのは、やはり早計だと思うので、
友人のギタリストのインプレッション等も参考にしながら、
もうしばらく、試行錯誤・実験を続けていこうと思う。