オクターブ調整・トレモロ・ナット調整
レスポールタイプ製作57と同様にPetersonVS-2でオクターブ調整する。
レスポールタイプと違うのは、
トレモロアーム搭載で、尚且つフローティング状態である事。
サドル位置が変わると、スプリングとのバランスが変わり、
フローティング量が変わるので、
常に、3弦解放が1音UPできる状態をキープするようスプリング調整も行う。
フローティング量が変わると、弦高も変わってしまうので注意する。
次に、トレモロアームとナット溝の修正を行う。
この時点では、アームを動かしたり、スタンドに立てかけると、ピキッと音がする。
この音が、ナット側で出ているか、ブリッジ側で出ているか、
両方で出ているかを確認しておく。この音が、出ないように調整していく。
まず、粘度の違うスプレータイプの潤滑剤を用意する。
粘度の低いものは、浸透しやすいが、流れたり広がりやすいので、
余計な箇所に潤滑剤がついてしまう。
粘度の高いものは、浸透しにくいが、比較的長時間、潤滑剤が残りやすい。
トレモロ本体プレートと弦が接している部分、サドルと弦が接している部分、
支点部に潤滑剤を塗って、アームアップ、ダウンを延々と繰り返す。
新品の弦なので、よく伸ばしておいてやる。
メッキのついた部品は、ピカピカしているので滑り良さそうに見えるが、
意外に摩擦が大きいので潤滑剤の効果は大きい。
ナットの溝仕上げの目標は、
1:アームを大きくダウンした直後の開放弦ピッチ
2:アームを限界までアップした直後の開放弦ピッチ
3:4-6弦は半音、3-1弦は1音ベンドした直後の開放弦ピッチ
この3つのピッチを、基準音のプラスマイナス5セント以内に収める様にしている。
6弦と3弦は、アームの効きが大きいので、他の弦より時間が掛かることが多い。
最後に、スプレーグリスを容器に吹き出し、爪楊枝で拾い、ナット溝に塗ってやる。
余分についたグリスは、綺麗に拭き取る。
ナットにグリスを塗ると、更にピッチの狂いが抑えられるが、
潤滑剤が枯れると、途端に狂いが大きくなる事があるので、
ブリッジ側も含め、まめにグリスアップしてやる必要がある。